医学的に正常とされる月経周期は25日〜38日、出血持続期間は3日〜7日間です。この期間を超えて生理が8日以上続く状態を「過長月経」と診断します。出血の量がごくわずかであっても、あるいはナプキンを頻繁に替えなければならないほど多くても、8日を超えて血液が排出され続けていること自体が異常の兆候です。
過長月経を放置する最大の物理的リスクは、慢性的な鉄欠乏性貧血の進行です。厚生労働省の国民健康・栄養調査等のデータでも指摘されている通り、日本人女性の20代〜40代は約2割から3割が貧血または隠れ貧血(貯蔵鉄フェリチンの枯渇)を抱えています。生理が長引くことで日々赤血球が失われると、ヘモグロビン濃度が徐々に低下し、「朝起きられない」「階段を上ると動悸・息切れがする」「爪がスプーン状に反り返る」といった深刻な全身症状が現れます。
徐々に貧血が進んだ場合、身体が低酸素状態に慣れてしまい、自覚症状がないままヘモグロビン値が危機的な数値(通常の半分程度)まで落ち込んで緊急搬送される事例も臨床現場では珍しくありません。出血が止まらない状態は、単なる不快感にとどまらず、心臓や循環器系へ極めて重い負担をかけ続けている事実を認識する必要があります。