退院後や生後間もない時期に、「呼吸がおかしいのではないか」と不安に駆られる場面があります。新生児の呼吸は成人と異なり、周期性呼吸と呼ばれる不規則なリズムを刻むのが生理的特徴ですが、病的な酸素不足を示す明確な兆候との識別が欠かせません。
家庭でも見逃してはならない新生児の呼吸困難の兆候は、以下の4点です。
- 陥没呼吸(かんぼつこきゅう):息を吸うときに、鎖骨の上、肋骨の間、あるいはみぞおちがペコペコと深くへこむ。
- 多呼吸:安静時や睡眠時にもかかわらず、1分間の呼吸数が60回以上続いている。
- 呻吟(しんぎん):息を吐くときに「ウーッ」「ウッ」と苦しそうな唸り声を規則的に出し続ける。
- 鼻翼呼吸(びよくこきゅう):呼吸に合わせて小鼻がピクピクと大きく広がる。
皮膚や唇が青紫色になる「チアノーゼ」にも注意が必要です。赤ちゃんの末梢血管は外気の影響を受けやすく、手足だけが冷たくて青紫になる現象(末梢性チアノーゼ)は、温めることで改善すれば後遺症のリスクはありません。一方、唇、舌、口腔粘膜、顔面全体が持続して青白い「中枢性チアノーゼ」は、動脈血中の酸素濃度が危険域まで低下している証拠です。この状態を放置すると低酸素脳症のリスクが高まるため、一刻を争う救急要請が必要です。
「酸素不足による影響はいつわかるのか」という診断時期に関して、脳損傷の物理的有無は生後数日〜数週の間に行われる頭部MRI検査で確認されます。しかし、実際の運動発達や知的能力にどのような形で現れるかは、首すわり(生後3〜4ヶ月)、おすわり(7〜8ヶ月)、つかまり立ちや歩行(1歳前後)といった発達のマイルストーンを経て、1歳から1歳半の段階で脳性麻痺の有無が概ね判定されます。高次脳機能や言葉の遅れについては、集団生活が始まる3歳児健診や就学前まで経過を観察していくのが標準的な臨床プロセスです。