なぜこれほどまでに、50代の女性キャストが演じる母親役が視聴者の心を強く引きつけるのだろうか。その背景には、各芸能プロダクションが大切に育て上げてきたトップ女優たちが、年齢とともに深みを増した演技力を如何なく発揮できる成熟期を迎えている点がある。
子育ての終わりや夫婦関係の再構築、キャリアと家庭の板挟みといった、人生の後半戦における複雑な機微を、押し付けがましくなくスクリーン上に昇華できるのが彼女たちの最大の強みだ。画面に一瞬映し出される眼差しや、吐息混じりのセリフひとつで劇中の空気を一変させる力がある。