しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかった。数年前、高齢化した前店主の体調不良に伴い、店は一度廃業の瀬戸際に立たされた。全国で年間数百店舗の町中華が姿を消す「後継者不足」の波が、この店にも容赦なく押し寄せたのだ。
そのピンチを救ったのが、当時20代半ばだった孫の決断だった。安定したサラリーマン生活を捨て、厳しい修行の世界へ飛び込んだ。頑固な先代と衝突しながらも、出汁の取り方から鍋の扱いまでを身体に叩き込んだ。伝統の味を守り抜く一方で、決済の電子化やSNSでのリアルタイムな営業情報の発信など、若い感性で時代に合わせた改革を推進。結果として、旧来のファンを大切にしながら新たな若い客層を開拓することに成功した。