彼のプレイスタイルを語るうえで外せないのが、音そのものを身体感覚として捉える卓越した感性だ。全盲というハンデを感じさせるどころか、それを圧倒的な強みに昇華させたプレイスタイルは、まさに「音の触感」を手繰り寄せるかのようである。レコードの溝の感触、ヘッドフォン越しに聴くわずかな音のニュアンス、そしてフロアから伝わる空気の振動。それらすべてを精緻に捉え、瞬時に次の一曲へと繋ぎ込んでいく。
ブースに立つ彼の指先は、まるで音の波形を直接触っているかのように軽やかで、かつ正確だ。視覚的な情報に頼らないからこそ、純粋な「音のディテール」と「クラウドの波長」だけに全神経が研ぎ澄まされる。結果として生み出されるロングミックスは、引き締まったボトムラインと艶やかなメロディが見事に融合し、聴く者の時間を歪ませるほどの没入感をもたらすのだ。