ネットスラング「ファビョる」の直接の語源は、朝鮮半島に特有の精神疾患・心身症とされる「火病(ファビョン / hwabyeong)」です。韓国語では「화병(ファビョン)」と発音され、文字通り「体内に火が燃え盛るような病」を意味します。
精神医学的な見地において、火病は米国精神医学会(APA)が発行する精神疾患の診断基準『DSM-IV』の付録(文化依存症候群・文化的定型表現)に掲載された実績を持つ正式な医学概念です。長期間にわたる理不尽な抑圧や怒り、無念の感情(いわゆる「恨(ハン)」の情動)を表面に出せず我慢し続けた結果、胸の激しい圧迫感、動悸、呼吸困難、全身の熱感、さらには突発的な激怒や錯乱状態として発症すると定義されています。
本来の医学用語としての火病は「耐え難い苦痛を内に秘めた末の心身の疲弊」を指すものであり、必ずしも外に向かって怒鳴り散らすことだけを意味するわけではありません。しかし、日本のインターネット空間へ輸入される過程で「怒りを制御できず突如として狂乱・逆上する姿」という極端な一面のみが切り取られ、定着していきました。