世界中のファンコミュニティやSNSを騒がせ続けているのが、本作に散りばめられた緻密な裏設定と都市伝説の数々です。
まず、主人公フリン・ライダーの本名「ユージーン・フィッツハーバート」にまつわる背景です。彼は孤児院で育ち、幼少期に読んだ冒険小説の主人公「フリン・ライダー」に憧れてその名を騙るようになりました。自らの出自への劣等感を隠すために作り上げた虚構のペルソナ(仮面)だったのです。彼がラプンツェルにだけその本名を打ち明けるシーンは、ディズニー映画における男性主人公の心理的成長を描いた屈指の名場面として語り継がれています。
また、ヒロインの相棒として絶大な人気を誇るカメレオンのパスカルにもユニークな制作秘話が存在します。初期構想ではリスや小鳥などの定番動物が検討されていましたが、制作チーム内の女性スタッフが実際に飼育していた本物のカメレオン「パスカル」の愛らしい挙動がアニメーターたちの心を掴み、異例の採用に至りました。言葉を一切発しないにもかかわらず、皮膚の色変化と豊かな眼球運動だけでラプンツェルの感情の鏡として機能する演出は、ディズニーアニメーションの技術的極致と言えます。
さらに、ネット上で長年議論を呼んでいる都市伝説が「『アナと雪の女王』との世界観共有説」です。エルサの戴冠式にラプンツェルとユージーンの後ろ姿が一瞬だけカメオ出演している公式描写を発端として、「エルサの両親が乗っていた船が難破したのは、ラプンツェルの結婚式へ向かう途中の航海だったのではないか」という壮大な考察がファンの間で熱狂的に支持されています。公式が意図した遊び心(イースターエッグ)が、世界中のファンの想像力を刺激し続けている好例です。