有村架純が従来の清純派イメージから一線を画し、表現者として大きな飛躍を遂げた象徴的な作品が、2017年公開の映画『ナラタージュ』(行定勲監督)です。高校教師と元生徒による狂おしいほどの純愛と執着を描いた同作で、彼女は松本潤演じる葉山貴司への断ち切れない想いに苦悩する主人公・工藤泉を演じました。
劇中で大きな話題となったのが、松本潤とのシャワー室でのキスシーンやベッドシーンを含む大胆な描写です。当時の舞台挨拶や映画公式インタビューにおいて、有村架純は「泉という女性が抱える痛ましさや狂気を表現するためには、逃げてはいけない場面だった」と述懐しています。単なる肌の露出を目的とするのではなく、理性と感情の間で揺れ動く女性の生々しい叫びを全身で表現したこの体当たり演技は、第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめとする数多くの映画賞で高く評価されました。
一方、2018年放送のTBS系ドラマ『中学聖日記』では、当時無名だった新人俳優・岡田健史(現・水上恒司)の相手役として、年下の男子中学生・黒岩晶に心惹かれていく女性教師・末永聖を熱演しました。特に第6話の夕日の観覧車でのキスシーンや、波打ち際での切ない口づけは、放送直後からSNS上でトレンド入りを果たす大反響を記録しました。
現場関係者の証言によると、演技経験がまったくなかった岡田健史の極度の緊張を解くため、有村架純はカメラが回っていない時間も積極的にコミュニケーションを取り、目線の送り方や身体の角度を細やかにサポートしていたと伝えられています。繊細な心の機微を視線の揺らぎ一つで伝える彼女のリードがあったからこそ、あの息をのむような美しい名シーンが誕生したといえます。