ヤマアラシの棘は、本質的には「高度に進化・硬化した体毛」だ。成分は私たちの爪や髪の毛と同じケラチンタンパク質でできている。
彼らの真の強みは、針を飛ばすことではなく、「超極小の接触でいかに相手に刺し込むか」という接触型防衛システムにある。天敵であるライオンやヒョウ、コヨーテなどが近づくと、ヤマアラシは背中や腰の針を逆立て、後ろ足で地面を強く踏み鳴らしながら後退して突撃する。
根元が極めて抜けやすい構造になっているため、敵の皮膚にわずかに触れただけで、棘はヤマアラシの体から滑らかに離れ、そのまま攻撃者の肉体に突き刺さる。自ら針を打ち出す必要など最初からないのだ。触れただけで相手を返り討ちにする完璧な受動的兵器と言える。