『ぶらり途中下車の旅』の代名詞といえば、旅人に優しく語りかける独特のナレーションです。歴代の担当声優・俳優陣が築き上げてきた歴史と、その交代劇には深い人間ドラマが存在します。
初代を務めた滝口順平氏は、1992年の第1回から2011年7月まで約19年間にわたり番組のトーンを決定づけました。「おやおや〜」「まいったなぁ」といった温厚かつユーモラスな語り口は、お茶の間に強烈な安心感を与えました。2011年8月に胃がんのため惜しまれつつ逝去されましたが、体調悪化で降板する直前までマイクの前に立ち続けた姿勢は、今なお語り継がれています。
2代目の藤村俊二氏(愛称・オヒョイさん)は、滝口氏の急逝を受けて登板。持ち前の軽妙洒脱でダンディな語り口で番組に新たな風を吹き込みましたが、2015年10月に体調不良を理由に降板、2017年に旅立たれました。
3代目の増岡弘氏は、『サザエさん』のマスオさんや『それいけ!アンパンマン』のジャムおじさんで知られる国民的声優。2015年10月から2018年12月まで担当し、包み込むような温かい声で視聴者を癒やしました。高齢に伴う体力的な負担を考慮し、惜しまれつつ勇退されています。
そして2019年1月より4代目としてバトンを受け取ったのが、名バイプレイヤーとして名高い俳優の小日向文世氏です。起用当初は「声優ではなく俳優」という点で注目を集めましたが、街の風景やグルメに素直に驚き、旅人に寄り添う飾らないナレーションは瞬く間に定着。「小日向さんの声を聞くと肩の力が抜ける」と、現在では番組に欠かせない新たな魅力となっています。