SNSやネット掲示板、Q&Aサイトでは「賞味期限が切れて酸っぱくなったキムチは腐っているのか」「表面に浮き出た白いカスのようなものはカビなのか」という相談が後を絶ちません。実際の利用者の声と、食品微生物学の知見を照らし合わせて検証します。
まず、キムチが酸っぱくなる現象は「腐敗」ではなく「乳酸発酵」の証拠です。キムチに含まれる乳酸菌(ラクトバチルス属など)は、白菜の糖分を分解して乳酸を生成します。時間が経つにつれて乳酸の濃度が高まりpHが低下するため、酸味が強くなります。本場・韓国では、1年以上低温熟成させて酸味を凝縮させた「ムグンジ(熟成古漬けキムチ)」が高級食材としてチゲや煮込み料理に重宝されており、酸っぱいこと自体は品質異常ではありません。
次に、表面に現れる白い膜や斑点の正体は「産膜酵母(さんまくこうぼ)」と呼ばれる酵母の一種です。産膜酵母は好気性(空気を好む)の微生物で、醤油や味噌、漬物などの発酵食品の表面によく発生します。毒性はなく、誤って口にしても食中毒を引き起こすことはありません。ただし、産膜酵母が繁殖するとキムチ特有の香気成分が損なわれ、シンナー臭や埃っぽい風味が付く原因になるため、スプーンなどで白い膜の部分をきれいにすくい取って取り除くことが推奨されます。