三遊亭好楽の芸道人生を語る上で、近年最大の慶事となったのが、実息子である三遊亭王楽の「七代目三遊亭円楽」襲名です。昭和・平成の落語界を象徴する五代目円楽、そして卓越した話芸と知性で愛された六代目円楽(旧名:楽太郎)の跡を継ぐこの大名跡の継承は、落語界全体を揺るがす大きなニュースとなりました。
王楽が落語家を志した際、好楽は自身の直弟子にはせず、師匠である五代目三遊亭円楽の元へ入門させました。そこには、「親子が師弟になると私情が入り、甘えや反発が生まれて芸が伸びない」という冷徹なまでの客観的判断がありました。
五代目円楽一門会における重鎮として、一門の歴史と絆を誰よりも尊重してきた好楽。師匠・五代目の直弟子として育った王楽が芸を磨き、六代目円楽の急逝による空位期間を経て七代目を継承したプロセスは、好楽が敷いた「健全な距離感」があったからこそ実現した歴史的結実といえます。