この楽曲が単なる上から目線の社会批判に終わらない理由。それは、語り手である「僕」自身もまた、その「彼女」から目を離せないでいるという複雑な感情描写にある。「あんなに夢中になれるのはなぜ?」「見つめあうだけで泣きそう」——冷めた目で世相を分析しながらも、流行に身を投じる彼女の切なさや脆さに、強烈に惹かれてしまう男の悲壮な恋心が交錯する。
浅はかだと分かっていても愛おしい。ハリボテのトレンドで武装した彼女の奥底にある「本当の素顔」に触れたいと願う衝動。批評性とエモーショナルなラブソングの融合こそが、ソングライター・桑田佳祐の真骨頂だ。