北九州市は工業都市として発展した歴史を持つ。その企業文化がバスケットボールにも色濃く反映されている。TOTO、安川電機、新日鐵住金(現日本製鉄)など、地元を代表する大企業が自社のバスケットボール部を運営してきた実績がある。
こうした企業チームは単なる福利厚生ではない。福岡県社会人バスケットボールリーグの1部に所属し、九州大会への出場を目指す真剣勝負の場だ。選手たちは朝7時から練習し、そのまま定時まで勤務する。夕方にはまた体育館へ戻る生活を続ける。
「仕事とバスケの両立は簡単じゃない」と語るのは、市内の製造業で働く32歳のフォワード選手だ。「でも、この環境があるから北九州で働き続けられる。バスケができなくなったら、多分この街にいない」
企業チームの変遷と現状
1990年代までは企業チームが社会人バスケの中心だった。しかし、バブル崩壊後の経済環境変化により、多くの企業が体育会系クラブの縮小を余儀なくされた。北九州も例外ではない。かつて20以上あった企業チームは、現在では10チーム前後まで減少している。
それでも残ったチームは強い。むしろ選手の質は向上した。企業の枠を超えた練習試合や合同トレーニングが当たり前になり、情報交換も活発化している。SNSの普及で他県の強豪チームとも簡単に繋がれる時代だ。