さらに、中長期的な調達戦略において避けて通れないのが、脱炭素化に向けた世界的な圧力だ。鉄鋼製造プロセスから排出される二酸化炭素を削減するため、再生可能エネルギーや水素還元製鉄、高効率電炉を活用して作られるグリーンスチールの採用が、大手デベロッパーを中心に急速に広がりつつある。
だが、環境価値が上乗せされたグリーンスチールは、従来の製品に対して一定のグリーン・プレミアム(環境上乗せコスト)が発生する。サプライチェーン全体のScope 3排出量削減を目指すグローバル企業にとっては必須の選択肢となりつつあるものの、コスト競争力との間で板挟みになる現場は少なくない。
調達の勝者となるための戦略は、もはや単なる「値引き交渉」ではない。工区ごとに従来材と環境配慮材を戦略的に打ち分けるマルチソーシングや、商社との長期枠予約契約を通じた価格変動リスクのヘッジ、さらには使用後の鋼材を回収・再利用するサーキュラーエコノミー型の調達モデルの構築など、多層的なアプローチが求められている。