神奈川県は全国的に見ても中学校給食の実施率が長年低い水準にとどまっており、横須賀市も例外ではありませんでした。従来の横須賀市では、家庭から持参するお弁当を基本としつつ、希望者のみが事前に注文するデリバリー型の選択制給食(スクールランチ)を併用するスタイルが続いていました。しかし、この方式では「注文率が伸び悩む」「利用する生徒への心理的ハードルがある」「冷たい状態で届く」といった課題が常に指摘されていました。
状況が大きく動き出したのは、市民による署名運動や保護者組織からの度重なる請願、そして教育環境の格差是正を掲げた行政方針の転換です。横須賀市教育委員会は、既存の中学校敷地内に個別の調理場(自校調理場)を新設するスペースの確保が困難であることや、莫大な初期投資・維持管理コストを総合的に精査。その結果、PFI事業(民間資金やノウハウを活用した公共事業)を活用したセンター方式による一括調理・配送システムの導入を決断しました。
綿密な用地選定と工事期間を経て、市内全域の中学校へ温かい食事を届ける準備が整い、全生徒を対象とした完全給食への移行が果たされました。共働き世帯の増加やひとり親家庭の支援という福祉的側面からも、この全員実施への転換は市民から極めて高い関心を集めました。