他者を裁く快感に溺れてしまう状態は、脳科学の分野で「正義中毒」と呼ばれています。人間の脳は、許せない他者を罰した瞬間に快楽物質であるドーパミンを分泌するようにできています。つまり、悪人を懲らしめる行為は、生物学的に極めて強い依存性を帯びているのです。
この正義中毒に陥り、ネット上で過剰な取り締まりを行う人々は俗に「正義マン」と呼ばれます。彼らには共通する特徴が見られます。
第一に、物事を「白か黒か」「善か悪か」の二元論でしか捉えられなくなります。文脈や個別の事情といったグラデーションを完全に排除し、一度でもミスをした相手を「絶対悪」と決めつけます。第二に、事実確認を怠り、切り抜かれた断片的な情報だけで激怒し、即座に拡散や攻撃に走ります。正義マンにとって重要なのは真実の追究ではなく、「怒りをぶつけて快感を得ること」そのものになってしまっているからです。