1969年、劇団「状況劇場」に入団した男は、主宰・唐十郎が展開する熱狂的な演劇空間でその才能を開花させた。新宿の花園神社などに張り渡された紅テント。その混沌とした熱気の中で繰り広げられるアングラ演劇の舞台で、彼は一際異彩を放つ看板役者として頭角を現していく。
身体を極限まで張る圧倒的なパフォーマンスと、一目見たら忘れられない眼光。泥臭さと透明な静謐さが同居する独特の存在感は、舞台関係者や文化人たちの間で瞬く間に噂となった。この劇場時代に養われた肉体性と直感力こそが、後の日本映画界における彼のアクションや静けさの演技の確固たる基盤となったことは疑いようがない。
舞台での圧倒的な実績を引っ提げ、彼はやがて映像の世界へと踏み出す。テレビドラマ『黄金の日日』で演じた石川五右衛門役で一躍全国区の顔となり、お茶の間の関心をさらう。だが、彼の本質はそこにとどまらなかった。スクリーンという広大なキャンバスで、より深く、より危険な役柄を求めて突き進むことになる。