雪菜の正体は、魔界の奥地にある氷河の国に暮らす「氷女(こおりめ)」と呼ばれる一族の末裔です。氷女は本来、男性を必要とせず約100年に一度、単性生殖によって同性の女児のみを産み落とす完全な母系・閉鎖社会を形成していました。しかし、雪菜の母親である氷菜(ひな)は、掟を破って一族外の異性(炎を操る妖怪)と交わり、双子の赤子を出産することになります。
その双子こそが、後に魔界に名を轟かせる邪眼の持ち主・飛影と、清らかな氷の霊力を持つ雪菜でした。氷女の里において男児は「忌み子」として極度に忌み嫌われており、赤子の飛影は生まれた直後に里の長老たちによって氷河の谷底へと投げ落とされます。母・氷菜はその悲劇に耐えかねて自ら命を絶つことになり、雪菜は母の親友であった涙(るい)の手によって育てられました。
物心ついた雪菜は、かつて自分に双子の兄がいたこと、そして里の者たちによって兄が非情にも捨てられたという冷酷な真実を知ります。平和と純血を掲げながらも同胞を平然と切り捨てる里の欺瞞に絶望した雪菜は、まだ見ぬ兄を探し出すため、過酷な外の世界へと単身旅立つ決意を固めたのです。