全知全能の力を持って生まれた縁壱ですが、その人生は「愛する者を何一つ守れなかった」という底知れぬ喪失感に彩られています。
戦国時代、武家の継国家に双子の弟として生を受けた縁壱は、不吉とされた生まれつきの痣のために忌み嫌われ、寺へ出家させられる予定でした。母の死を契機に出奔した縁壱は、道中で天涯孤独の少女「うた」と出会います。寄り添うように生きる中で結ばれ、やがてうたのお腹に新しい命が宿りました。
しかし、運命はあまりにも残酷でした。縁壱が産婆を呼びに家を離れたわずかな隙に、妻・うたと胎内の子が鬼に惨殺されるという凶行が発生します。帰宅した縁壱は、冷たくなった妻と子を十日十夜にわたり抱きしめ続け、立ち尽くしました。この計り知れない絶望こそが、彼が鬼狩りの道を歩む契機となったのです。
「自分は特別な人間ではない」「家族と静かに暮らしたかっただけなのだ」という縁壱の切実な願いは、そのあまりの強さゆえに天から拒まれ続けました。