インターネット上の知恵袋やSNSで非常に多く見られるのが、「前回の車検で何も言われなかったから足回りは健全なはず」という過信です。しかし、ディーラーや指定工場で行われる車検での足回りガタ点検の実態を知ると、その認識がどれほど危険であるかが浮き彫りになります。
車検(自動車検査登録制度)の役割は、あくまで「その瞬間に道路運送車両の保安基準に適合しているか」を最低限確認することです。サスペンション関連で厳密にチェックされるのは、ドライブシャフトブーツやボールジョイントブーツのゴムが破れてグリスが漏れていないか、手で車輪を揺すった際に目に見える危険なガタがないか、という極めて初歩的な点に限られます。
つまり、ショックアブソーバーが完全に抜けてスカスカになっていようが、ブッシュがひび割れて硬化していようが、ブーツに穴さえ開いていなければ車検は合格してしまうのです。整備士が「まだ乗れますよ」と言うのは、「今すぐ法的に走行不能にはならない」という意味に過ぎず、「新車の安全性能を維持している」という意味ではありません。車検合格を安全の免罪符にするのではなく、定期点検記録簿の推奨交換時期に目を向ける必要があります。