映画の成否を語る上で欠かせないのが興行成績の推移だ。興行通信社が毎週月曜日に発表する全国映画動員ランキングを仔細に分析すると、現代のヒット作における明確な二極化が浮き彫りになる。公開前の大々的なプロモーションによってロケットスタートを切る超大作がある一方で、SNSの口コミからじわじわと座席占有率を上げていくロングラン作品が存在する。
日本映画製作者連盟の年間データを見渡しても、国内市場における観客の選別眼は年々シビアさを増している。単なる有名キャストの登用や派手な宣伝文句だけでは、もはや劇場の重い扉を開けさせることはできない。「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する若い世代ですら、圧倒的な映像体験のためなら2時間を超える上映時間に惜しみなく対価を払う。ランキングの上位に居座り続ける作品の裏側には、緻密に設計されたリピート鑑賞の仕掛けと、観客同士が語り合いたくなる強い「謎」や「余白」が存在している。