日常の防護具選びにおいても、空気感染と飛沫感染の力学を理解していなければ重大な隙が生じる。眼前に飛んでくる飛沫の直撃を防ぐだけであれば、一般的な不織布マスクでも高い遮断効果を発揮する。しかし、空気中を漂う微小な飛沫核を吸い込まないためには、フィルターの性能と同時に「顔との隙間(フィット感)」が決定的な差を生む。
医療従事者が使用するN95マスクは、0.1〜0.3マイクロメートルの微粒子を95%以上捕集する規格を持ち、顔に密着させて隙間からの空気漏れを極限まで抑え込む構造になっている。日常的な場面で常にN95マスクを着用するのは現実的でないとしても、高密度な不織布マスクを隙間なく装着する「タイト・フィッティング」を意識するだけで、エアロゾル吸入リスクを劇的に低下させることが可能だ。