『もののけ姫』は、それまでのジブリ作品が持っていた親しみやすいイメージを覆し、本格的なダークファンタジーとして提示された。そして舞台設定は室町時代の日本。従来の時代劇アニメといえば、侍のチャンバラや歴史上の名勝負を描くものが主流であったが、本作は虐げられた人々や森の神々の戦いという全く新しい視点を持ち込んだ。
オープニングの段階で提示されるのは、正義と悪の単純な二元論ではない。人間が生きていくための開発と、自然の生態系の破壊という回避不能な対立。冒頭数分間で作品の提示する問題の深さが提示され、観客は気楽な鑑賞者から、物語の目撃者へと変貌させられる。