しかし、絶景の対価としてキャンパーに突きつけられるのが、「過酷な傾斜地」と「早朝の場所取りレース」という厳しい現実です。SNSやレビューサイトでは「斜めすぎて一晩中身体が滑り落ち、腰を痛めた」「テントの設営場所を探すだけで心が折れた」という体験談が後を絶ちません。
浩庵キャンプ場のテントエリアは、大きく分けて「湖畔サイト」と「林間サイト」の2つに分かれます。多くの来場者が目指す湖畔サイトは、すり鉢状のカルデラ地形に沿って水面へと下っていく砂利混じりの急斜面です。波打ち際のわずかな平坦地はごく限られており、そこから数メートル後退するだけで、体感斜度10度〜15度以上の急勾配が広がっています。
実際に現地で宿泊した利用者の証言からは、その厳しさが生々しく伝わってきます。
「波打ち際のフラットな場所は、アーリーチェックインの先頭集団であっという間に埋まります。少し出遅れて中段の傾斜地に張らざるを得なくなりましたが、コットの下に石を噛ませて水平を作らないと、眠るどころか座っているだけで椅子ごと滑り落ちそうでした」(30代・男性ソロキャンパー)
「夜中に寝袋の中で足元へとずり落ちていき、何度も目を覚ましました。頭を山側に、足を谷側に向けて寝るのが鉄則ですが、寝返りを打つたびに平衡感覚が狂うような感覚がありました」(40代・ファミリーキャンプ経験者)
浩庵キャンプ場では、通常チェックイン(10:00〜)に先駆けて、有料のアーリーチェックイン(早朝7:30〜)が用意されています。絶景フロントローを確保したい猛者たちは、夜明け前のゲート前に車列を作り、管理棟での受付開始を待ち構えます。しかし、場所取りの焦りから無理な斜面に大型テントを強引に設営し、ポールを破損させたりペグが抜けたりするトラブルも頻発しているのが現状です。