石原の政治生命を語る上で切っても切り離せないのが、その類まれな言語感覚と、物議を醸し続けた数々の発言だ。「三国人」発言や女性への過激な言及など、現代の価値観やコンプライアンスの基準から見れば到底許容されないものも少なくない。しかし、なぜ国民の一定層は彼の発言に拍手喝采を送ったのだろうか。
そこには、建前と事無主義に終始する戦後日本の政治言語に対する、人々の根強い鬱屈と不満があった。石原の発言は、時に暴論でありながらも、官僚的な無難な答弁を打ち破る圧倒的なリアリティを帯びていた。相手を射抜くような眼光と、計算し尽くされた言葉のナイフ。人々は彼の言葉に、危うさを感じつつも「本当のことを言ってくれた」というカタルシスを見出していたのかもしれない。