レンコン料理の満足度を左右する最大の要素が「食感」です。きんぴらやサラダで見せる軽快な歯ごたえと、煮物や天ぷらで味わう濃厚な粘り気やホクホク感。この二極の食感は、繊維の方向とデンプンの流出度合いをコントロールすることで明確に作り分けられます。
レンコンをシャキシャキに仕上げる下処理では、繊維構造を壊さないことが鉄則です。レンコンの繊維は長軸方向(穴が貫通している縦方向)に走っています。サラダや酢の物、炒め物にする際は、繊維に沿った「縦切り」や、薄めの輪切り・半月切りにします。切った後は速やかに酢水にさらすことで、表面のデンプンを洗い流し、細胞壁のペクチンを酸で安定化させてパリッとした弾力を引き出します。レンコンのきんぴら向け下ごしらえでは、2mm〜3mm幅の薄切りにして3分酢水にさらし、水気を徹底的に拭き取ってから強火で一気に炒めるのがコツです。
対照的に、レンコンをホクホクにする切り方では、繊維を断ち切る「乱切り」や「厚切り(1.5cm以上)」を採用します。乱切りにすることで熱の伝導面積が広がり、中心部まで均一に火が通ります。さらに重要なのがレンコンの煮物における下処理のアプローチです。ホクホク感の正体は加熱によって糊化(アルファ化)したデンプンであるため、酢水ではなく「真水」に1〜2分軽くさらす程度に留め、デンプンを過剰に流出させない配慮が求められます。