本作の革新性を語る上で外せないのが、名手・鎌田敏夫による緻密な脚本である。それまでのテレビドラマにありがちだった説明的なセリフや大仰なメロドラマの構造を、鎌田は容赦なく解体した。
人が人を好きになるとき、あるいは別れを決意するとき、理路整然とした言葉など出てこない。言葉を被せ合い、言い淀み、照れ隠しに軽口を叩く。鎌田敏夫が創り出したこの「リアルな会話劇」の手法は、日本のテレビ放送業界に決定的な地殻変動をもたらした。後の脚本家たちに計り知れない影響を与え、90年代以降の会話劇ブームの礎となったのである。