高度経済成長の波に乗り、全国各地の主要都市に大型グランドキャバレーが誕生した1960年代から1970年代にかけて、熊本市中央区の歓楽街(下通・新市街・銀座通り周辺)にも夜のエンターテインメントを牽引する巨大店舗が続々と誕生しました。その筆頭格として名を馳せたのが「キャバレー ブルーシャトー」です。1967年に大ヒットしたグループ・サウンズの名曲に着想を得たとも言われるその店名は、当時のモダンでハイカラな西洋建築のイメージと重なり、市民にとって特別な夜を過ごすステータスシンボルとなっていました。
当時の店舗運営を知る元業界関係者や常連客の回想録によると、フロア内には数十卓に及ぶボックス席が整然と並び、中央にはフルバンドが生演奏を披露する本格的なステージが鎮座していました。毎夜開催される専属歌手のショーやダンサーによる華麗なパフォーマンスは、単なる酒席を超えた総合エンターテインメント空間としての機能を果たしていたと証言されています。
当時の熊本ブルーシャトーの昔の様子を振り返ると、夕方6時のオープンと同時に企業の役員や営業マン、出張で熊本を訪れたビジネス客が押し寄せ、ピーク時には入店待ちの行列ができるほどの熱気に包まれていました。明朗会計を掲げつつも、指名料や同伴システム、チップ文化など、昭和特有の濃密な人間関係と景気の良さが店内の至る所に満ちていた時代でした。