加藤和彦が日本の音楽シーンに遺した功績は、いま振り返っても驚異的なものばかりです。1960年代後半、北山修らと結成したザ・フォーク・クルセダーズでは、『帰って来たヨッパライ』で日本初のミリオンセラーを記録し、名曲『悲しくてやりきれない』や『あの素晴しい愛をもう一度』など、今なお歌い継がれるスタンダードを生み出しました。
その後結成したサディスティック・ミカ・バンドでは、本格的なブリティッシュ・ロックとアヴァンギャルドな日本の感性を融合させ、1975年にはロキシー・ミュージックの全英ツアーに帯同。世界的な評価をリアルタイムで獲得した日本初のロックバンドとなりました。
フォーク、グラムロック、ニューウェイヴ、オーケストラアレンジ、歌舞伎や映画音楽に至るまで、常に誰よりも早く新しい海外の潮流を取り入れ、洗練された日本のポップミュージックへと昇華させたパイオニアでした。だからこそ、「これ以上新しい地平を切り拓けない」という感覚は、彼にとって耐えがたいものだったのです。