ほうれん草の下茹でにおいて、料理の仕上がりを大きく左右するのが「茹で時間」のコントロールです。結論から言えば、沸騰した湯に対して「茎を30秒、その後に全体を沈めて15〜20秒」、合計で45秒〜50秒程度が最も理想的な加熱時間となります。
葉物野菜の中でも、ほうれん草は茎と葉で組織の硬さや火の通りやすさが劇的に異なります。束のまま一気に熱湯へ投入してしまうと、茎に火が通る頃には葉がくたくたに煮崩れ、風味も水溶性ビタミンも著しく損なわれてしまいます。まず根元の太い部分だけを熱湯に浸けて30秒カウントし、追って葉先まで全体を沈めて短時間でサッと熱を通す二段階投入が、均一な歯ごたえを生む絶対条件です。
茹で上がった直後は迷わず冷水に取ります。この素早い温度変化が余熱による過加熱を断ち切り、鮮烈な緑色を保つ「色止め」の決定打となります。