日本において、この病気の存在を広く知らしめる最大のきっかけとなったのは、間違いなく安倍晋三元首相の辞任劇だろう。2度にわたる首相辞任の理由となったことで、世間は初めて「潰瘍性大腸炎」という具体的な病名と、その深刻さを認識することになった。
当時は「お腹が痛いだけで国政を投げ出すのか」といった心ない批判も浴びせられた。しかし、この騒動こそが、医療関係者や患者会が病気の正しい知識を発信する契機となった。政治家という最高権力者であってもコントロールできない病の凄絶さが、結果として一般市民の理解を深めることにつながったのは歴史の皮肉と言えるかもしれない。