SEKAI NO OWARIの代表曲『眠り姫』は、きらびやかでファンタジックなバンドサウンドとは裏腹に、歌詞の随所に「不穏な影」と「切迫した別れの予感」が散りばめられています。なぜこれほどまでに切ないストーリーが描かれているのか、その謎を解く鍵は作詞・作曲を手掛けたFukaseの精神的バックボーンと楽曲の制作背景に存在します。
音楽誌のバックナンバーや当時の特番インタビューにおいて、Fukaseは「自分にとって大切な人が眠っている姿を見たとき、ふと『このまま二度と目を覚まさないのではないか』という底知れぬ恐怖に襲われた」という原体験を語っています。童話『眠り姫(いばら姫)』では王子のキスによって呪いが解かれハッピーエンドを迎えますが、現実世界における「眠り」の先には、誰も抗うことのできない不可逆の「死」が横たわっています。
歌詞中において、主人公は愛する人を起こすための「魔法」や「奇跡」を必死に手繰り寄せようとします。しかし、その祈りは同時に「いつか必ず訪れる別れ」を強烈に自覚しているからこそ生まれる叫びです。単なるファンタジーの借用にとどまらず、閉鎖病棟での闘病経験や精神的な極限状態を経験してきたFukaseならではのリアルな死生観が、童話のフォーマットを通じて見事に昇華された作品といえます。