1972年、円谷プロダクションが世に送り出した『ウルトラマンA』。この作品で純 アリス(当時の芸名:純アリス)が演じた美川のり子隊員は、まさにシリーズ屈指のヒロインとして語り継がれている。情報通信を担当する冷静沈着なオペレーターでありながら、時には自ら現場に飛び込み拳銃を構える芯の強さ。そのギャップが、当時の視聴者に鮮烈なインパクトを与えた。
当時の撮影現場は、想像を絶する多忙さと過酷さに包まれていたという。特撮現場ならではの爆破ロケや長時間の撮影のなか、彼女が見せたプロ意識は共演者やスタッフからも高く評価されていた。後半の降板劇を巡っては長年さまざまな噂が飛び交ったが、彼女自身が選んだのは役者としての新たなステップと、表現者としての挑戦であったことが当時の関係者の証言から浮かび上がってくる。一見華やかに見える銀幕の裏側で、彼女は常に妥協なき演技力を追求し続けていたのだった。