台風がもたらす脅威の顔つきは、地域によって大きく異なる。大都市圏では、高層ビル群によって風速が極限まで増幅される「ビル風現象」が猛威を振るう。ガラス破片の飛散や構造物の飛来により、街頭の歩行者は一瞬で致命的なリスクに晒される。さらに地下街や地下鉄駅構内への雨水流入は、都市機能を一瞬で麻痺させるポテンシャルを持つ。
一方で中山間部や郊外では、中小河川の水位急上昇が最大の脅威だ。大河川と異なり、中小河川は降雨開始から氾濫に至るまでの時間が極めて短い。「さっきまで小川だった場所」が、わずか30分で激流へと変貌する。傾斜地の多い地域では、山腹の崩壊や土石流が何の前触れもなく集落を襲うリスクを常に孕んでいる。