日本とブラジルの対戦史において、今なお語り継がれる伝説の一戦が1996年アトランタ五輪での「マイアミの奇跡」だ。U-23年代の戦いではあったが、リバウドやベベトを擁する最強ブラジルに対し、伊東輝悦の金星ゴールと堅守で1-0の勝利を収めた。この劇的勝利の裏にあった勝因は、徹底したリアクションサッカーとシュート本数差(28本対4本)を耐え抜いた圧倒的な集中力に他ならない。
一方、A代表レベルで最も金星に近づいたのは2005年のFIFAコンフェデレーションズカップだった。ジーコ監督率いる日本は、ロナウジーニョやカカーを相手に一歩も引かず、中村俊輔の鮮烈なミドルシュートと大黒将志の同点弾で2-2のドローを演じた。主導権を握ってパスをつなぎ、対等に殴り合ったこの一戦は、日本サッカー史に残る名勝負として称賛された。
だが、その後に待っていたのは厳しい現実だ。2014年にシンガポールで行われた親善試合では、エースのネイマール一人に4ゴールを奪われ0-4で粉砕された。個の局面打開力と一瞬のスキを逃さない決定力——。大敗の真相には、自陣での軽微なミスを瞬時に得点へと変換するブラジルの圧倒的なクオリティが存在していた。