この惨劇は、当時の登山・アウトドア業界に計り知れない衝撃を与えた。「クマは臆病であり、人間を避ける」という従来の定説が完全に覆されたからである。ヒグマには、一度手に入れた食べ物や荷物を自分の所有物と強く認識する習性がある。その所有物を人間が取り返そうとした場合、クマはそれを直接的な攻撃行動とみなす。
当時の学生たちは知識の不足ゆえにザックを取り戻そうとしたが、現代の山岳安全プロトコルでは「クマに触られた荷物は絶対に諦める」ことが鉄則とされている。彼らのあまりにも重い犠牲は、危険回避の新たな世界基準を確立させるきっかけとなった。