制作環境の進化も、人物描画のアプローチを大きく変えた。現在のデジタルイラストレーションにおいて、デジタルツールの機能を賢く使うことは手抜きではなく、表現力を高めるための標準戦略だ。
株式会社セルシスが展開する「CLIP STUDIO PAINT」は、デッサン人形をキャンバス上に配置できる強力な3Dポーズ機能を備える。光の当たり方やカメラの画角を自由に変更できるため、難易度の高いポーズの下書きとして活用すれば、描画にかかる時間を大幅に圧縮できる。
iPadをはじめとするモバイル端末で絶大な人気を集める「Procreate」は、直感的なUIと強力な「クイックシェイプ」機能を誇る。手描きで歪んだ円や直線を描いても、ペン先を止めれば瞬時に滑らかな幾何学図形へと自動補正される。この機能を活用すれば、前述した「3つの丸と線」のアタリ作業が数秒で完了し、ストレスなく本画の作業へと移行できる。