「阿部慎之助の子ども」として生まれた以上、周囲からは常にスポーツでの活躍を期待されてきた。幼い頃には様々なスポーツに触れたが、最終的に彼女を虜にしたのはフィギュアスケートだった。きらびやかな衣装、張り詰めた空気感、そして滑り終えた瞬間の達成感。それは野球とは全く異なる魅力に満ちていた。
もちろん、「二世アスリート」としての苦悩がなかったわけではない。どこへ行っても「阿部監督の娘」という肩書きがついて回る。自分の実力ではなく、父親の名前で注目されることに葛藤した時期もあった。それでも彼女は、氷の上で「自分自身」を表現することで、その呪縛を乗り越えてみせたのだ。