かつてないほど高気密・高断熱を謳う現代のマンション。しかし、皮肉なことに、外の音が遮断された静寂の空間だからこそ、建物内部を伝う重低音や振動が異常なほど際立つようになった。都市部に暮らす人々の多くは、スマートホーム化された快適な部屋で、皮肉にも隣人の気配に怯えながら暮らしている。
「一度気になり始めると、もう時計の秒針の音さえ拷問に変わる」。そう語るのは、かつて騒音トラブルで引っ越しを余儀なくされた都内在住の女性(34)だ。音そのものの大きさ(デシベル数)ではなく、「不快な音がいつ鳴るかわからない」という予期不安が、人間の脳を極限まで疲弊させる。