愛知県の高校野球が「王国」と呼ばれるゆえんは、単なる過去の勝利数の多さだけではない。通算勝利数で全国トップを走る中京大中京を筆頭に、平成最初のセンバツ王者である東邦、メジャーリーガーを数多く輩出した愛工大名電、そして名門・享栄という「私学4強」が、半世紀以上にわたり互いの手の内を知り尽くしながら切磋琢磨してきた歴史があるからだ。
しかし、現在の愛知は決して4強の独壇場ではない。シード校であってもノーシードの刺客に1回戦で足をすくわれる光景が日常茶飯事となっている。地方大会の初戦から甲子園の8強レベルと同等の緊迫感が漂う。この異常なまでの層の厚さこそが、甲子園の大舞台に乗り込んだ際に物怖じしない、極限の勝負強さを鍛え上げている。