ファンの間で最も話題を集めていた原作屈指の長編「島編(セイレーン編)」のアニメーション化。スクリーンに映し出されたのは、南の島の美しいリゾート風景……ではなく、足元からじわじわと忍び寄る圧倒的な狂気だった。劇場の巨大なスピーカーから流れるセイレーンの歌声は、幻想的でありながらどこか耳を塞ぎたくなるような不協和音を孕んでいる。
島に隠された「人魚伝説」と、それを取り巻く島民たちの歪んだ欲望。単なる冒険譚として終わらせず、画面の隅に映る謎の碑文やキャラクターたちの微小な表情の変化にまで意味を持たせる演出は、まさに映画ならではの密度の高さだ。観客はスクリーンから目を離すことができず、一瞬のコマに隠された意味を必死に読み解こうと没頭することになる。