昭和30年代、日本映画は娯楽の王座に君臨していた。その中心にいたのが、日活アクション映画の代名詞である小林旭と、圧倒的な美貌と演技力で人々を魅了した浅丘ルリ子だ。二人が共演した「渡り鳥」シリーズや「流れ者」シリーズは、映画館の外に長蛇の列を作らせる社会現象となった。ギターを背負い馬にまたがる小林の荒々しさと、それに寄り添う浅丘の可憐さは、当時の若者たちにとって憧れの象徴そのものだったのだ。
単なる商業映画の枠を超え、彼らの作品は戦後日本の復興期におけるエネルギーの象徴でもあった。スクリーンの中で火花を散らした二人のダイナミズムは、現代のCG多用の映画にはない、生身の人間が放つ圧倒的な熱量に満ちていた。