ネット上の掲示板やSNS上で毎年議論を呼ぶのが、「愛媛県トレセン(トレーニングセンター制度)」の選考基準です。「Jクラブの下部組織に所属していないと受からない」「春生まれで体格が大きい子どもばかりが選ばれている」といった憶測が飛び交いますが、2026年時点の育成現場を綿密に取材すると、選考方針には明確なパラダイムシフトが起きています。
現場を担当する指導スタッフの証言によると、選考シートで最も配点比率が高くなっているのは「オフ・ザ・ボールの認知力と判断スピード」です。単に足が速い、キック力があるといった生得的な身体能力(いわゆる早熟によるアドバンテージ)は、U-13以降の発育スパート期に平準化することが科学的に証明されているため、協会指導部も「身体のサイズだけに依存したプレーヤー」の選出を意図的に抑制しています。
「セレクションのミニゲームで何を見ているかといえば、ボールを持っていない瞬間に首を振って周囲のスペースと味方の位置をどれだけ把握しているかです。また、味方のミスに対してネガティブな身振りをせず、建設的な声を掛けられるかという『感情コントロール能力』も厳密にチェックしています」(県内トレセン指導スタッフ)
ある保護者の手記には、次のようなリアルな葛藤が綴られています。「小学生の頃は身体が小さく、地区トレセンすら落ち続けていた息子でしたが、チームの監督から『ボールを受ける前の準備とスペースを見つける目だけは磨き続けろ』と言われていました。中学2年の秋、急激に背が伸びた瞬間にこれまでの戦術眼が一気に活き、県トレセンの最終選考に合格しました。焦って目先のフィジカル勝負に走らなくて本当によかったと感じています」。
2026年現在、県トレセンの選考基準は以下の4点に集約されています。
- 認知と決断の速さ:プレッシャー下でボールを受ける前から複数の選択肢(パス・ドリブル・シュート)を持ち、最適な解を選べるか。
- プレーの再現性:偶然のスーパープレーではなく、意図を持ったポジショニングと基礎技術を90分間持続できるか。
- 守備の強度と連続性:ボールを失った瞬間のファーストディフェンスと、守備から攻撃への切り替えスピード。
- パーソナリティと傾聴力:指導者の指示を的確に理解し、ピッチ内外で仲間と自律的なコミュニケーションが取れるか。