一部で囁かれた重病説や健康不安の噂について、身近な関係筋はきっぱりと否定する。年齢相応の穏やかさは増したものの、足腰を鍛えるための日課の散歩を欠かさず、規則正しい生活を崩していない。
朝起きて陽の光を浴び、丁寧に出汁をとった食事を口にする。かつて徹夜続きだった東映の撮影所時代を思えば、夢のような静寂がそこにある。世間の喧騒から一歩引き、家族や旧友との語らいを慈しむ日々。派手なパーティーや夜の街に出向くこともなく、ごく普通の生活者としての感覚を何より大切にしている。
「役者は日常をきちんと生きていないと、人間の匂いが消えてしまう」。若き日から口にしていたその言葉を、傘寿を過ぎた今、自らの生活そのもので体現しているかのようだ。