今日のマカロンの形を決定づけたのは、創業者ルイ・エルネスト・ラデュレ(Louis Ernest Ladurée)が開いた小さなベーカリーから始まる一族の物語である。19世紀半ば、パリのロワイヤル通りに構えた店舗は、カフェとパティスリーを融合させたサロン・ド・テの先駆けとして上流階級の社交場となった。
転機は1930年に訪れる。創業者の従弟であるピエール・デフォンテーヌ(Pierre Desfontaines)が、2枚のマカロンコックの間に柔らかなガナッシュを挟むという画期的なアイデアを考案した。これこそが、現代世界中で愛されている「マカロン・パリジャン」の誕生である。
それまで素朴な焼き菓子に過ぎなかった地方菓子は、この発明によって洗練されたガストロノミーへと昇華を遂げた。2枚の生地とフィリングが織りなすテクスチャーの対比は、100年近く経った現在も変わらぬ黄金比として受け継がれている。