この熱狂的なバケットブームの背景には、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドと、ライセンサーであるウォルト・ディズニー・カンパニーによる極めて高度なビジネス戦略が存在する。世界のテーマパーク産業を見渡しても、ここまでポップコーン容器単体に熱狂が集まり、巨大な市場を形成している事例は類を見ない。
卓越したキャラクターマーチャンダイジングの真髄は、「パーク内を歩くゲスト自身を歩く広告塔に変える」という点にある。誰かが魅力的な光るバケットを首から下げて歩けば、すれ違う別のゲストが「あれはどこで買えるのか」と購買意欲を刺激される。視覚的な連鎖反応がパーク全体で自然発生するように計算し尽くされているのだ。
さらに、ワゴンごとに異なるフレーバーとデザインを組み合わせることで、ゲストにパーク内を広範囲に回遊させる動線制御の役割も果たしている。ゲストの滞在時間を延ばし、パーク体験の満足度を底上げする強力な装置として機能しているわけだ。