テレビの時代劇でよく見かける、父親が放蕩息子に向かって怒鳴りつける「勘当だ!」のワンシーン。かつての旧民法下における「家制度」においては、戸主が家族を家から排除する「義絶」や「勘当」に法的な効力があった。当時は戸籍から名前を抜くことが制度として認められていたため、そのイメージが今なお人々の記憶に強く焼き付いている。
しかし、第二次世界大戦後の民法改正によって家制度は完全に解体された。現在の法律において、血のつながった実の親子関係を一方的な意思表示で断ち切る手続きは存在しない。「戸籍を汚すな」「戸籍から抜いてやる」といった脅し文句は、法的には何の根拠もない完全な虚構に過ぎない。親が役所の窓口で「子を勘当したから戸籍から消してくれ」と求めても、窓口で受理されることは100%ないのが実情だ。