現地を歩き、市井の声に耳を傾けると、手放しの祝賀ムードの奥に潜むリアルな世論のグラデーションが見えてくる。若年層の間では「K-POPや映画に続いて、自分たちの文学が世界に届いた」という誇らしさが圧倒的だ。SNSでは作品の一節を引用して自らの感性を表現する投稿が溢れ返り、文学が最もトレンディなカルチャーとして再発見されている。
一方で、作品が扱う歴史的事件をめぐっては、保守派の一部ネット空間で冷ややかな視線や偏向性を疑う極端な声が散見されたのも事実だ。しかし、そうした些細な雑音を押し流すほど、文化界全体への波及効果は凄まじい。映画界や演劇界では彼女の小説を原作とする企画が再脚光を浴び、無名の若手純文学作家たちの翻訳出版プロジェクトにも海外からの引き合いが急増している。政治主導のナショナリズムではなく、個人の内省から生まれた芸術が社会を底上げするという、かつてない成熟した文化現象が定着しつつある。