学校現場の音楽教諭や、実際に合唱コンクールで『証』に取り組んだ生徒たちの証言からは、この曲が持つ類まれな求心力と、同時に直面するリアルな壁が浮かび上がってきます。
都内の中学校で合唱部顧問を20年以上務めるベテラン教員は、次のように語ります。
「『証』は楽譜を配った初日から生徒たちの目の色が違います。普段は合唱練習に消極的な男子生徒が、サビの男声パートのかっこよさに惹かれて自発的に練習を始めるケースを何度も目にしてきました。ただし、その熱量が仇になることもあります。男子がサビで感情を込めすぎて叫び声になり、アルトの緻密なハーモニーをかき消してしまう。この曲の成功の分かれ道は、“熱唱”をいかに“調和”へと昇華させられるかにあります」
また、大手Q&AサイトやSNS上の合唱コミュニティでは、練習過程における次のような苦悩の声が多く見受けられます。
「Bメロの掛け合いでパートごとのタイミングが合わず、バラバラになってしまう」
「サビ前の静寂で緊張してピアノが走ってしまい、テンポが崩壊する」
「本番の卒業式で、涙が込み上げてきてサビの高音が出なくなってしまった」
生徒たちの感情を極限まで揺さぶる楽曲だからこそ、技術的な基礎(ブレスの位置、拍の共有、脱力発声)を早期に固めておかなければ、感情の波に飲み込まれて演奏が崩れてしまうというシビアな現実が存在します。